細見美術館 杉本博司 趣味と芸術―味占郷展 2016年4月16日から6月19日まで

  • この展覧会は終了しました

 杉本博司は、代表作<ジオラマ>、<劇場>、<海景>といった写真シリーズで世界的に知られる現代作家です。

 一方で、古美術商の経験を持ち、日本美術にも大変造詣が深く、三十三間堂の千体仏を写した<仏の海>をはじめとする日本の伝統美を自身の写真に取り入れる作品も手掛けています。さらには、2003年より世界各地を巡回した展覧会「歴史の歴史」において、自らコレクションした古美術品と自作を組み合わせたインスタレーションも試みています。まさに、現代美術の世界で古きものに新たな生命を注ぎ続けている作家と言えるでしょう。

 本展「趣味と芸術」では、平安時代から江戸時代の作品を中心に、西洋伝来の作品、昭和の珍品を含む杉本コレクションで27の床 のしつらえを作りあげています。これは『婦人画報』で連載された「謎の割烹 味占郷」の中で、杉本が各界の著名人をもてなすために、毎回そのゲストにふさわしい掛軸と置物を選んで構成した床飾りを再現したものです。同時に、「趣味」として収集した古今の名品・珍品を組み合わることで、新たな「芸術」をも生み出そうとしています。現代美術の枠を超え、活動を続ける現在の杉本をご覧いただき、この作家の魅力と奥行を十分に味わっていただければと思います。

※ 都合により、25の床のしつらえ展示をお楽しみいただいております。

Sugimoto Hiroshi is a contemporary artist world-renowned for his photographic series Dioramas, Theatres, and Seascapes. He also has experience as a dealer of pre-modern works and incorporates traditional Japanese art into his own creations as shown by, for example, Sea of Buddhas, which takes as its subject matter the sculptures of Sanjūsangendō Temple in Kyoto. Moreover, at the exhibition History of History, which travelled the world from 2003, he unveiled installations that combined pre-modern art with his own works.

At this exhibition, Art and Leisure, we are displaying arrangements in 25 decorative alcoves, or tokonoma, that comprise artworks from the Heian to the Edo period, those that were passed down through the generations in Western countries, as well as rare objects from the Showa era. These are recreations of arrangements that Sugimoto created to entertain famous individuals of various professions for a series, “The Enigmatic Restaurant Misenkyō,” featured in the magazine Fujin Gahō. Sugimoto is creating a new form of “art” by combining rare and valued, old and new objects that were collected according to his “taste.” This exhibition will present to visitors the beauty and depth of work by Sugimoto, an individual who is surpassing the boundaries of contemporary art.

《海景》特別展示

杉本と当館館長の細見は30年以上の交友があります。本展では特別に杉本の代表作というべき《海景》が展示されることとなりました。

  • ・Yellow Sea,Cheju,1992 ゼラチン・シルバー・プリント 20×24インチ(シートサイズ)
  • ※ 特別展示は一部内容を変更しました。ご了承ください。
主  催 :
細見美術館
協  力 :
公益財団法人小田原文化財団 ロンドンギャラリー ギャラリー小柳
特別協力 :
MOA美術館
特別協賛 :
ドンペリニヨン アマナサルト
出品作品数 :
約120件 展示替なし

プロフィール

杉本博司

杉本博司 近影1948年東京生まれ。立教大学経済学部卒業後、1970年に渡米。ロサンジェルスにあるアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学び、1974年よりニューヨーク在住。現代美術作家として活動するかたわら、1979年から10年間ニューヨークで古美術店を営み、個人でも古美術品を蒐集。2003年から蒐集品と自身の写真作品を組み合わせる表現活動を展開する。代表作に自然史博物館のジオラマを撮影した「ジオラマ」シリーズ(1975年~)、全米の映画館などで撮影した「劇場」シリーズ(1975年~)、世界各地の海を同じ手法で撮影した「海景」シリーズ(1980年~)などがある。近年は建築プロジェクトを手がけることも多く、さらに文楽、能といった古典芸能の舞台美術や演出など、様々なシーンで活躍。1988年毎日芸術賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞、2010年紫綬褒章、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ、2014年第一回イサム・ノグチ賞等受賞多数。主な著書に『苔のむすまで』『現な像』『アートの起源』(新潮社)、『歴史の歴史』(新素材研究所)、『空間感』(マガジンハウス)がある。


展覧会概要

開催期間

平成 28416日(土) 619日(日)

開館時間・休館日

午前 10 時 〜 午後 6(入館は午後5時30分まで)

休館 毎週月曜日


チケット情報

入館料 一般:1,200円(1,100円)  学生:1,000円(900円)

※ ( )内は20名様以上の団体料金


主な出品作品

好色図会十二候 勝川春潮

背筋解剖図(解剖学の天使)
ジャック・ゴーティエ・ダコティ
『筋肉解剖学完全版』1745-1748年
古瀬戸水注 鎌倉時代

撮影:蛭子 真
©Hearst Fujingaho

好色図会十二候 勝川春潮

紺紙銀泥大方広佛華厳経(二月堂焼経)巻頭
奈良時代
春日四所若宮本地懸仏 鎌倉時代

撮影:森山雅智
©Hearst Fujingaho

好色図会十二候 勝川春潮

「阿古陀形兜」 南北朝時代
「夏草」 2015年 須田悦弘

撮影:杉本博司

好色図会十二候 勝川春潮

梅花の偈 一休宗純 享徳元年
雨桶銅花入 大正時代
返華 平安時代

撮影:森山雅智
©Hearst Fujingaho

好色図会十二候 勝川春潮

絵因果経断簡 細見美術館蔵
誕生釈迦仏立像/四方台
ロンドンギャラリー蔵

©Sugimoto Studio
/Courtesy of Chiba City Museum of Art

好色図会十二候 勝川春潮

エジプト『死者の書』断片 紀元前1400年頃

撮影:杉本博司

好色図会十二候 勝川春潮

明恵上人像 鎌倉時代
春日若宮御正体
神鹿:鎌倉時代/五 文殊菩薩像:鎌倉時代
/榊鞍角:2011年 須田悦弘

撮影:森山雅智
©Hearst Fujingaho


イベント


「華厳滝図」「月下紅白梅図」特別公開 エントランスフリー

杉本博司展特別公開 撮影 杉本博司
  • 展示場所:細見美術館3階 茶室「古香庵」
  • 公開時間:11:00~17:00 ※ 作品保護・イベント等によりご覧頂けない場合があります。
  • 公開作品:「華厳滝図」 2005年 撮影/1977年 小田原文化財団蔵
    「月下紅白梅図」 2014年 個人蔵 協力:MOA美術館
  • 公開日 :6/2、3、4、5、9、11、12、14、18、19 …「華厳滝図」・「月下紅白梅図」
    6/1、7、8、10、15、16、17 …「華厳滝図」のみ
    (2016/6/6現在)
    ※ 週末に限られていました「月下紅白梅図」の公開日が追加になりました。

茶室 古香庵 営業のご案内 日々のおもてなし

杉本博司の作品と共に、季節の和菓子と抹茶でくつろぎのひとときを― 美術館3階の茶室 古香庵は、数奇屋建築の名匠、故中村外二棟梁の遺作。東に向かって開放されたつくりで、岡崎界隈の新緑と東山の峰々が一望できます。

  • 内容:
    季節の生菓子とお抹茶(京菓子司「末富」製 老舗茶舗「一保堂」) 価格:1,080円
  • 時間:11:00~17:00
    イベント等により休室の場合があります。詳しくはtwitter(@HosomiMuseum)をご覧ください。
  • 注意事項:
    お菓子の数に限りがございます。
    生菓子完売の場合は干菓子でのおもてなしとなります(800円)。
    5名様以上にてお越しの節は、ご予約をおすすめいたします。
    生菓子は時季によって変わります。
    呈茶席は茶室前テラスとなります。

展覧会関連図録

「趣味と芸術 謎の割烹 味占郷」 著:杉本博司

定価:2,600円(税別)

判型/ページ数:B5変型/184ページ

初出:ハースト婦人画報社「婦人画報」2013年10月号~

2015年12月号までの連載「“謎の割烹”味占郷」に加筆訂正。
杉本博司氏のサイン本も登場!

趣味と芸術 謎の割烹 味占郷 杉本博司 細見美術館展覧会図録
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