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明治・大正・昭和にわたり、デザイナーとして活躍した杉浦非水(1876~1965)は、明治9年愛媛県松山市に生まれました。はじめは地元の四条派絵師・松浦巖暉に、さらに東京美術学校入学後は川端玉章に師事し、日本画を学びましたが、在学中にフランス帰りの洋画家・黒田清輝がもたらしたアール・ヌーヴォー様式の図案類に魅せられ、以後図案家として歩み始めます。
明治41年(1908)には三越呉服店に入社、同店のポスターやPR誌の表紙絵などを担う一方、雑誌の表紙、書籍の装幀、絵葉書、ポスター、パンフレット、商品パッケージなど、さまざまな分野で先進的なデザインを数多く残しています。さらに非水の活動は、作品制作にとどまらず、デザインの研究団体を結成し、展覧会や雑誌の刊行を行ったほか、多摩帝国美術学校の創立に参画するなど、多岐にわたっており、非水はまさに、日本の “グラフィックデザイン” の原点ともいうべき存在です。
本展は、愛媛県美術館が所蔵する約7,000件に及ぶ非水の作品、関連資料の中から選りすぐりの名品を紹介するものです。京都の美術館で杉浦非水を単独で取り上げる初めての展覧会となるこの機会に、非水のモダンでおしゃれなデザイン世界をご堪能ください。
三越呉服店図案部にて 大正3年(1914) 明治・大正・昭和にわたり活躍したデザイナー。愛媛県松山市生まれ。東京美術学校で川端玉章に師事し日本画を学ぶも、洋画家・黒田清輝がフランスよりもたらしたアール・ヌーヴォー様式の図案類に魅せられ、以後図案家となる。
明治41年(1908)には三越呉服店に入社、同店のポスターやPR誌の表紙絵などを27年間手掛けた。このほか、雑誌の表紙、書籍の装幀、絵葉書、ポスター、パンフレット、商品パッケージやラベルなど多くの分野で先進的なデザインを数多く残している。
ヤマサ醤油
1920年代
愛媛県美術館蔵
『三越』 第十五巻第六号
大正14年(1925) 6月
愛媛県美術館蔵
『雄弁』第十五巻第十号
大正13年(1924) 10月
愛媛県美術館蔵
洋風の髪飾りをつけ、ソファに腰を掛ける女性は、蝶の柄の着物に花柄の帯を身にまとい、春らしい華やかさに満ちている。ソファやクッションの柄、背後のテーブルや椅子など、植物をモチーフとした装飾模様がほどこされており、アール・ヌーヴォーなどの西洋の様式を意識している様子が伝わる。
徹底した平面性と装飾的要素を盛り込んだ、非水にとって初めての本格的ポスター作品。日本のグラフィック史における記念碑的作品として知られる。
遠近法を強調し、地下鉄が乗り入れる瞬間の臨場感と高揚感を伝える。大正11年(1922)にヨーロッパ遊学を果たした非水は、現地で流行していたアール・デコなどに触発され、帰国後は直線的でシャープな印象の作品を手掛けるようになる。本作も、日本でもよく知られるアドルフ・ムーロン・カッサンドルを彷彿とさせる。
奥には和装の人が描かれるが、手前には華やかな洋装の人たち。新しい時代の到来を、地下鉄を導線として視覚化している。
<事前申込不要・聴講無料> ※ただし、別途入館料が必要
<事前申込制・有料>
アートサロンとは・・
美術館のゆったりとした雰囲気の中で、文化・芸術にふれ創造性を高めていただける講座を少人数制で開催いたします。
開催中の展覧会「愛媛県美術館所蔵 杉浦非水─モダンデザインの先駆者」展にちなみ、展覧会担当学芸員が、日本初のグラフィックデザイナー杉浦非水が生み出した作品の魅力や展覧会のみどころをお話しいたします。豊かな発想力と表現力が生み出したバラエティーあふれる作品世界を、より深くお愉しみください。当日は、非水の作品世界をイメージした和菓子をご用意いたします。爽やかな風が吹き渡る古香庵にて、新緑あふれる東山の景色とともにお愉しみください。
<聴講無料>
定価:2,500円(税込)
発行:2017年2月
仕様:273頁 B5判
愛媛県美術館にて開催された「生誕140年記念 杉浦非水-開花するモダンデザイン」展の展覧会図録です。
※表記はすべて税込価格です
京都国立近代美術館の観覧券をご提示頂けますと、団体料金にてご入館頂けます。
また、細見美術館の入館シールまたは友の会メンバーズカードを京都国立近代美術館にてご提示頂ければ、
京都国立近代美術館で開催中の展覧会を割引料金にてご観覧頂けます。
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