美の饗宴 若冲と祈りの美
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会期:2019年4月27日(土) - 6月16日(日)
会期:2019年4月27日(土) - 6月16日(日)
細見美術館は、細見家三代のコレクションから成り立っています。大阪を基盤に毛織物で財を成した初代細見古香庵こと細見良(1901~79)。初代の薫陶を受けながら、父と競うように新たな蒐集を行った二代目古香庵こと細見實(1922~2007)、いつかは美術館をという祖父の意志を継ぎ、それらの美術品の公開に踏み切った細見良行(1954~)。美術館が京都・岡崎の地に開館したのは1997年3月のことでした。
細見コレクションはコンパクトな規模ではありますが、時に日本美術の教科書と称されるように、さまざまな時代やジャンルを象徴する優れた作品で構成されています。かつてこれらの美術品は、泉大津の細見邸で四季折々に部屋を飾り、国内外の賓客を迎え入れたものでした。制作当初の美術品が、人々を癒し楽しませていたことに想いを馳せ、細見家で貫かれてきた日本の美によるおもてなしの心。コレクション展ではその精神を以て、館蔵品の中から選りすぐりの作品をご覧いただきたいと思います。
江戸時代絵画を代表する絵師として知られる伊藤若冲(1716~1800)。彼の精緻な彩色表現や自由闊達な水墨画風は、生きとし生けるものの姿を独自の視点で捉え、瑞々しい絵画世界を創り上げました。「雪中雄鶏図」「糸瓜群虫図」をはじめ、館蔵の若冲作品の数々にその魅力を探ります。これらの若冲コレクションは、二代目古香庵が半世紀も前に若冲に開眼し集めたものでした。
一方特に仏画・仏像・和鏡といった平安・鎌倉の宗教美術は、初代古香庵がこよなく愛したものです。彼は神や仏に捧げられた美の造形の中にこそ真の尊さがあると信じ、その蒐集に心血を注ぎました。重要文化財「刺繍大日如来像」、同「線刻十二尊鏡像」などいずれも小品ながら、穏やかな仏の笑みは今もなお、人々に美しく生きる心の在りようを示すかのようです。
若冲と宗教美術、両者に通じるのは表現対象に真摯に向き合い、美に昇華させた作り手の崇高な精神ではないでしょうか。自然や神仏への敬意、それを見事に造形化した日本美術の豊かさをご堪能ください。
フィンランドの豊かな自然から生み出されたデザインの数々。
若冲の「糸瓜群虫図」(江戸中期)と「刺繍大日如来像」(鎌倉時代)。時代もジャンルも異なる2作品ですが、細やかな美術表現という視点から捉えてみましょう。
「糸瓜群虫図」は、長い実を垂らす糸瓜に11匹の虫や蛙が見え隠れする作品です。そのユニークな構図もさることながら、よく見るとそれぞれの虫たちには表情があり、今にも動き出しそうな写実性に溢れています。糸瓜の葉の葉脈や、少し虫食みにあって実の中が覗いている部分、蔓先の葉のちりちりとした描写や細かい渦を為す蔓など、顕微鏡で観察したかのような細密な描写です。葉陰に潜むような小さな生き物に対する若冲のまなざしは鋭くも温かく、後の「動植綵絵」などの先駆けとなる本作を生み出しました。
「刺繍大日如来像」は、表具まで色鮮やかな刺繍で表わされた繍仏(しゅうぶつ)です。鎌倉時代に流行した繍仏の中でも本図は金具に至るまで制作当初のものを備えており、小品ながら繍仏の魅力を存分に堪能することができる稀有な作例です。
明るい青地に唐花唐草文が映え、大日如来を一層引き立てています。唐花は同系色で濃淡を使い分け、繧繝(うんげん)彩色のような、ぼかしの効果を艶やかに表現しています。細密な刺繍の技法に感嘆するばかりですが、さらに驚くのは、大日如来の髪、眉、髯などは、本物の髪の毛を縫い糸としていることです(茶色の部分)。これは「髪繍(はっしゅう)」といい、亡くなった人の供養のためにその遺髪を用いているのです。一針一針を故人への想い、仏への祈りを込めて縫い、精緻を極めて願いを届けたいという切なる気持ちが作品から滲み出ています。
若冲の「糸瓜群虫図」と鎌倉時代の「刺繍大日如来像」、どちらも目を凝らさなければ見えないほどの微細な表現を駆使しています。自然界への畏敬の念、故人そして仏への供養の心、ともに人智を超えた存在であることを作り手はよく知っているからこそ筆を尽くし、縫い尽くしたのではないでしょうか。
入場無料
石本作品を茶室 古香庵にて展示いたします。和の空間に展開される作品世界をお楽しみください。
開催日時:2019年3月9日(土)~3月24日(日)
公開時間はこちらをご覧ください。
※作品保護・貸切等によりご覧いただけない場合があります。
最新情報はtwitterにてご確認ください。
会場:茶室 古香庵(細見美術館 3階)
有料・事前申込制
開催日時:2019年5月25日(土) 午後2時~
会場:京都市勧業館 みやこめっせ 大会議室(地下1階)
京都市内の別会場で展覧会にあわせて特別企画を行います。
詳細は展覧会特設サイトをご覧ください。
無料・事前申込制
2019年3月9日(土) 午後3時~
会場:ワコールスタディホール京都
登壇者:石本藤雄氏・細見良行(細見美術館 館長)
2019年3月9日(土)~4月21日(日)
会場:京の温所 岡崎
石本の新作陶作品「オオイヌノフグリ」の原画を使用したトートバッグやマグカップ、ミラー、缶バッジなどの多数のオリジナルグッズをご用意しております。 (※画像は一例です)
オンラインストアのご案内
スパイラルオンラインストアで、同展覧会グッズとプロダクトライン「オオイヌノフグリ」のウォールレリーフを販売しております。
京都国立近代美術館の観覧券をご提示頂けますと、団体料金にてご入館頂けます。
また、細見美術館の入館シールまたは友の会メンバーズカードを京都国立近代美術館にてご提示頂ければ、京都国立近代美術館で開催中の展覧会を割引料金にてご観覧頂けます。
京都市京セラ美術館の観覧券をご提示頂けますと、団体料金にてご入館頂けます。
また、細見美術館の入館シールまたは友の会メンバーズカードを京都市京セラ美術館にてご提示頂ければ、京都市京セラ美術館で開催中の展覧会を割引料金にてご観覧頂けます。